コラム

高齢者、冬の怖い病気

糖尿病の悪化にも注意

冬は何かと飲み食いする機会が多い時期です。年末年始にかけて忘年会や新年会などが続き、食事の摂取カロリーが高まっているのは分かっていても、寒さから外出が億劫になるだけでなく、あえて運動をしようという気持ちになるのも難しいものです。しかし、動かない時間が長いほど心筋梗塞や糖尿病の悪化につながったり、認知症にかかったりする可能性が高くなるといわれています。冬でも適度な運動をして、生活習慣病を予防することが大切ですが、寒い環境下での突然の運動や、急な体温の変化は思わぬケガや病気につながることがあります。冬に気をつけなければ
いけないのは、風邪やインフルエンザのような感染症だけではありません。

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寒い日の屋外での運動

運動不足だからといって、冬の寒い日に急に運動をするとケガにつながることがあります。寒いと体の筋肉は硬くなり、伸縮性が低くなります。十分に筋肉がほぐれていない状態で、急に走ったり、重いものを持ち上げたりすると、肉離れや脱臼、筋を痛めたりする可能性が高まります。ケガをしないためには、次の対策を行いましょう。


1) 温度差をなくす
屋外と屋内の温度差が激しいと、血管が収縮し筋肉が硬くなります。体に急激な気温の変化を与えず、屋内にいた場合は暖房器具をオフにし、徐々に寒さに慣れてから外に出るようにします。

 

2) 運動前にはウォーミングアップが大切

体が温まってない状態で運動すると、先に述べたように筋肉や筋を痛めることがあり危険です。特に冬場に運動する際は、準備運動が大切になります。5~10分程度、手足をほぐしたり、ゆっくりとストレッチをしたりして、ウォーミングアップを行いましょう。心拍数が毎分120程度になるのが目安です。


3) 体を冷やさない

運動する時の防寒対策には、着るものも含まれます。生地が薄いものを何枚か重ね着をするのがおすすめです。運動で体が温まってくる度に1枚ずつ脱ぐことができ、温度調節がしやすくなります。厚手のものを上に1枚羽織るだけでは余分に汗をかいたり、その後の急激な体温低下から筋肉硬化につながったりするのを避けられません。スポーツウエアには防寒性、通気性に優れたものがたくさんあります。ネックウォーマーや手袋などの小物を取り入れるのも良いでしょう。

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心筋梗塞・狭心症など、心臓系の疾患に気をつける

12月~3月にかけては、心筋梗塞などの心疾患による死亡者数が暑い時期と比べて約2倍に増加することがわかっています。気温が低いことだけでなく、室内外の温度差が大きいことも影響しています。では、寒さを避けるために外出しなければ大丈夫というわけではありません。

屋内では、体を温めるための入浴時にも危険が潜んでいます。11月~2月にかけての入浴中の死亡事故は、年間の6割以上を占めると報告されています。


急な温度変化は危険!

心疾患などの病気にも温度変化が大きく関係しています。体が急に冷えないよう防寒対策が大切です。外出時には、防寒着、マフラー・手袋を着用し、体への負担を軽減しましょう。家の中では、長時間過ごす部屋には暖房を入れて暖かくしていても、トイレや風呂場は寒いままという家庭が多いのではないでしょうか。特に入浴時には服を脱ぎ着するため、気温差を感じやすくなります。小型の暖房器具を置き、脱衣所を温めておきましょう。また、体が冷えたままいきなり熱いお湯に浸かると急激に血圧が上がり、その後5分程度で急に下降します。

38~40℃くらいのお湯であれば、入浴前後でも血圧は安定することが分かっています。温泉好きの日本人は42℃以上の熱いお湯を好みますが、体への負担を考えると少しぬる目のお湯が理想的です。また入浴は、軽い運動と同じくらいのエネルギーを消費します。心臓への負担を考え長湯は控え目に。1回5分程度浸かれば十分です。入浴中の発汗で体内から水分が奪われると血液が粘っこくなるため、入浴の前後は必ずコップ1杯の水分を補給しましょう。

寒さから体にも不調をきたすことの多い冬。感染症予防だけでなく、気温の変化によって引き起こされるケガや病気にも気
を付けましょう。