透析の主人と有料老人ホーム
週に3回の腎臓透析
私は一昨年、主人を亡くしました。主人は若い頃に扁桃腺の炎症から腎臓を悪くし、長年にわたる病院との付き合いが始まりました。健康には人一倍気を付けていましたが、ついに、60代前半から腎臓透析を週に3回始めることになりました。
透析を始めると塩分や水分の摂取量を控えなければなりません。
自己管理をきっちりしなければ、寿命にも関わります。食生活はさらに徹底して気を付けました。歳を取り体力も衰えた晩年は病院通いをするのも一苦労となり、また体力の低下から時に入院することもありました。
入院すると必ず主人はいつも帰宅願望が強くなり、「早く家に帰りたい」と繰り返し言うのです。亡くなる1年半ほど前からは、入退院を繰り返すことが多くなり、病院にいる時間がさらに長くなりました。
その頃は、頭はしっかりしているものの、やっと伝い歩きができる状態で、体力も筋力も無くなった体は自分自身を支えるだけでも精一杯で、立っていることも辛かったと思います。しかし、それでも「家に帰りたい」という思いは強かったのです。
そこまで自宅にこだわった主人の気持ちを尊重してあげたかったのですが、私も高齢の身。家で介護をするには難しいことが多々あることも分かっていました。結局、主人は体力が回復せず、退院できないままこの世を去りました。
透析と有料老人ホーム
主人を見送り、しばらくしてから、有料老人ホームでも透析に通うことができる場所があると知りました。主人の入院生活で度々口にしていた「家に帰りたい」という言葉も、もしかしたら有料老人ホームに入居をしていたら無かったのかもしれません。自宅とは違いますが、入院生活に比べれば「生活の場」としては有料老人ホームを選択することも1つの案だったかもしれません。
ただ、何より、有料老人ホームの探し方自体もわかりませんでしたので、少し早く勉強をしていれば良かったと少なからず後悔しました。
そして、私も自分が最後を迎える時のことを考えました。それが住み慣れた自宅であれば良いに越したことはありません。
しかしながら、主人のような状況に置かれた場合を考えると、子ども達が自立してからは遠方に住んでいることもあり、子供に迷惑を掛けることになってしまうと考えました。
主人を亡くしてからは、一軒家にいるのは私1人です。近所に友人はいますが、友人もそれぞれの家庭がある身です。そう考えると、自宅で最後を迎えることだけが最良の方法ではないのかもしれない、と思ったのです。
実際、私も歳と共に身体が衰えています。1人で生活するのは難しくなるかもしれませんし、また何より人と接する機会が減ることも寂しく思います。子どもには迷惑をかけたくない気持ちも強くあります。
そこで施設に入ることも視野に入れてみようという思いに至りました。
相談することで見えてくる選択肢
歳を取ってから入る施設は「老人ホーム」しか思いつかないくらい、施設のことは知りませんでした。あまりにも無知でしたので誰に相談して良いのかもわからず、まず子どもに施設のことを相談したところ、大変驚いて「まだそんなこと考えなくても良いよ、元気なんだから」と言われました。しかし、何度か真剣に思いを伝え話し合いをした結果、理解を示してくれました。私に代わっていろいろと調べてくれたようで、ある日「ブライトシニアの住まいさがし」という、介護施設の情報誌を持って会いにきてくれたのです。
まずは、いろいろと話を聞いてみようということで連絡をしました。電話をして、相談員の方とお話しし、資料を持って来てくれることになりました。無料というので、心配になり聞いてみると、入居になった場合に、介護施設から紹介手数料を受け取り、それと広告関係での収益で成り立っているとの事でした。
相談員の方は、お会いする時には、大切なことなので、お子さんも同席し、できるだけ大勢で質問をしてもらった方が良いというので、子供にも声をかけ、同席してもらいました。
施設を選ぶ時にひとつだけでなく、いくつか見学ができることも初めて知りました。おかげで施設に入ることを前向きに考えられるようになり、急いではいなかったのですが、自分の世界が広がったような気持ちで早く入りたくなってしまいました。もし周りで施設選びに悩んでいる方がいたら、まずは相談することから始めることで新たな考えが生まれます。
最後を迎える場所は介護施設か自宅か
人は誰しも歳を取り、いつかその人生に終わりを迎えますが、人生の最後はどこで迎えたいかという質問に、多くの人が自宅と答えています。次いで僅かな差ですが、病院や施設と答える方が多い様です。これにはできるだけ人の迷惑になりたくないという思いが込められているようです。自分の子供にさえ面倒をかけたくないと思うのは、親であるからなのか、国民性なのかはわかりませんが、人に迷惑を掛けることはだれしもが敬遠することだと思います。>>アンケート結果はこちら
- 同居している親が要介護状態に
- 突然レビー小体型認知症と言われても。。
- 入居者の声一覧
- 選んだ有料老人ホームに断られやっと見つけた施設
- 母の話す「独居老人」になる怖さ。認知症になる前に家探し
- 元気なうちに終の棲家を決める
- 離れた土地で暮らす両親の施設選び 専門家と相談を
- 頑張りすぎないことも大切 介護と家族の関係
- 突然突きつけられた介護の問題困惑する施設選び
- 年齢とともに直面する施設入居の問題
- 病気と共に余儀なくされる生活環境の変化がこれからの重要課題
- 家族にとって何が幸せかを日頃から話合っておく
- 高額な費用こそ相談を。道は開けます
- 私らしい選択海外では当たり前の施設暮らし
- 無理をするのではなく家族にとって安心できる選択を
- 施設入居の決断は1歩の勇気。相談や見学だけでも
- 元気なうちに施設への入居を視野にいれておく事の大切さ。
- 先入観は捨てて考えて欲しい。施設は安心できて明るく頼れる場所。
- 入居者が心地よく暮らせることが大切
- 家族みんなが幸せになれることが大切